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引き続き任意自動車保険について説明します。
任意自動車保険に加入して得られる事故加害者側のメリットを中心に話を進めてきました。

この頁では、事故が発生した際の自動車保険会社の対応のしかた等の実例を交えて、任意自動車保険制度の光と影に迫りたいと思います。


任意自動車保険は自賠責同様、自動車1台ごとに1契約が基本です。
しかし、一家で1台の車を共同利用していた時代とは異なり、現在では国民の大多数が運転免許を保有するようになりました。
家族で数台の車を使用するのが当たり前の状況になると、「車ごとの危険度」の算定では実態にそぐわなくなってきた面があるのが実態です。

近年の保険料自由化により、各保険会社が独自に、より細分化されたグループ(運転免許証の色や家族構成、年間走行距離など)毎の危険度の算定や、複数保有割引の導入などが行なわれています。
これは「車の保険」から「運転者個人」の保険への移行の流れと捉えられなくもありません。

しかし保険料率の細分化は、事故率の高い若年運転者の保険料の高騰となり、収入の低い若年層の「無保険化」を招く危険も孕んでいるといえるでしょう。

なお、自動車運転者損害賠償責任保険(ドライバー保険)は、自動車を保有しないペーパードライバー個人に掛ける、例外的な保険です。

但し、加害者側がこれらの保険に加入しても、直ちに被害者が十分な補償を受けられることまで担保しているわけではないことに注意する必要があります。
なぜなら保険会社という一営利企業が独自に作成する補償基準は、自賠責保険と同等若しくは劣る程度のものであり、裁判上の補償基準などには遠く及ばないからです。
ところが事故対応ノウハウを有する保険会社が示談交渉上の主導権を握ることが多いため、被害者の不知や動揺・事故による経済的困窮などに付け込んで、半ば強引に補償を抑制することが常態化していることが事実としてあります。

また被害者が裁判でそれを争った場合、保険会社は支払いの抑制を意図し、裁判でも被害者に対して企業の組織力を動員して苛烈な攻撃をすることになるります。
このため事故の精神的苦痛に加えて保険会社の攻撃による二次的な苦痛に悩まされることが多いのです。

まさにえびすと閻魔、二つの顔を使い分ける自動車保険会社の側面を垣間見る瞬間といえるでしょう。


一方で事故加害者は、示談交渉その他を自動車保険会社に任せてしまうことによって自ら事故被害者の苦痛に相対する必要がなくなります。
しかも事故加害者は経済的にも任意自動車保険で担保されるため、任意自動車保険制度自体の必要性は認めつつも任意自動車保険が事故加害者の真摯に反省する機会を奪っているのではないかという問題点が指摘されています。


2006年10月20日

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